2015年6月24日 水曜日 晴れ
こんにちは。埼玉県上尾市に本社を置く石材店の株式会社大塚のブログ「霊園とお墓のはなし」です。
本日、弊社大塚が日頃大変お世話になっております埼玉県伊奈町の法光寺さまを訪ねてみましたところ、境内の「沙羅の木(シャラノキ)」にかわいらしい白い花が咲いていましたので記事にしてみます。
法光寺さまの山門をくぐって本堂に向かい、その右手奥に続く墓域への入り口にあたる場所にシャラノキはあります。
仏教にゆかりの深い「沙羅双樹(さらそうじゅ)」はフタバガキ科の植物で温暖な土地でないと育ちません。そのため日本各地の寺院では沙羅双樹の代わりにこの樹を植え、沙羅双樹になぞらえて「沙羅の木(シャラノキ・サラノキ)」とも、そのまま「沙羅双樹」とも呼ばれています。ツバキ科ナツツバキ属の高木で、夏椿(なつつばき)です。
仏教には三大聖樹というものがあるのですが、そのうちの一つがお釈迦様が亡くなる際に周囲にあったという沙羅双樹。他の二つは、お釈迦様が生まれた場所に生えていたという「無憂樹・ムユウジュ」(別名、阿輸迦の木・アショーカノキ)と、お釈迦様が悟りを開いた場所に生えていたという菩提樹になります。
インドの植物が日本で育たないのは残念ですが、その代わりの夏椿もとても美しい花です。
高木ですので、高い場所に咲いています。
花の命は短いようで、咲いたと思ったら一日ほどで散ってしまうそうです。
有名な平家物語の冒頭の二文目にあります「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」というのは、沙羅の木の白い花が、花の盛りから一転してあっという間に散ってしまう、という点で平家の栄枯盛衰を表現したわけです。
昨夜は雷雨が埼玉県を襲いました。強い雨に散ってしまった花がいくつも地面に見られました。
仏教聖樹の沙羅双樹は、お釈迦様の入滅に際に周囲に生えていた樹なのですが、涅槃の瞬間にぱっと白い花が咲き、そして散って降り積もった様子がまるで白い鶴が舞い降りたようだった(鶴林)といわれています。「沙羅双樹の花の色」とはまさにこのことでしょう。平家物語の著者はこのお釈迦様入滅の逸話をもって盛者必衰を読者に「世の常」と大前提として感じてもらうよう冒頭に書いたわけですね。
ぷっくりと大きく膨らんだ花の蕾がたくさんみられましたので、まだしばらくはお花を見ることが出来そうです。
季節はいよいよ夏本番を迎えようとしています。墓域からすぐ近くの場所にありますので、この季節ならお墓参りのついでに花を見ることができると思います。
四季折々の表情を見ることができる法光寺さま。お近くに来られましたらぶらりとお散歩に訪れてみてはいかがでしょう。